からくり人形 五段返り人形


昔からからくり人形が好きでしたが、去年、恒和出版から出ている
 江戸科学古典叢書3、「機訓蒙鑑草 三巻 機巧図彙 三巻」
という江戸時代に出版された、からくりの解説本の復刻版を入手してから自分でもからくり人形を作りたくなりました。

その中から子供の頃、デパートの催し物で見たことがある「五段返り人形」を自分なりに復元しようとしています。
最初は完成してから公開しようとしたのですが、それでは当分公開できそうにないので出来たところまで公開します。

 
五段返り人形とは右図に示すようなものでとんぼ返りしながら階段を下りるからくり人形です。
ゼンマイなどの動力はないのですが内部に水銀が入っており、水銀の移動により重心位置が変わることで動作します。
さすがに水銀を使うのは恐いので、小径のボールベアリング(直径1.2mm)を使うことにします。

ネットでからくり人形の作成に関する情報を探してみると小山工業高等専門学校金野研究室の「研究成果の紹介 その1」で茶運び人形、和時計、尺時計、五段返り人形の復元の詳細な資料がPDFで配布されていました。 今回の製作でも寸法など参考しさせてもらっています。
 
最初の試作では「機巧図彙」の通りに木をくりぬいて作っていたのですが、ボールベアリングが途中で詰まってしまった為、薄板の張り合わせに変更し少し手を貸せばとんぼ返りする所まで出来ました。(右写真)
あとは手足の長さ、取り付け角度、ボールベアリングの量を調整すれば何とかなりそうです。

しかし、ここまで作ったところで馬鹿な考えが湧いて出ました。
これなら全て平面で構成されているので紙でも出来るのでは?
そこで紙で試作してみた図面を公開します。

 切りぬく からくり人形 五段返り人形 JW_CADフォーマット図面

材料

 厚手の紙(今回はEPSONのMCマット紙 厚さ0.26mmを使いました) A5版以上
 ボール紙(厚さ1.6mm) A5版以上
 カーボンスチールボールベアリング(直径1.2mm) 50g程度

図面
 
この図面の右側は五段返り人形の胴体と首になります。厚手の紙に印刷してください。
図面の右側は手足の部分になります、厚手のボール紙などに印刷して下さい。
胴体部分を組み立てたものが右の写真です。

組み立て方

切りぬく前に山折り、谷折りになる点線及び一点鎖線部分を千枚通しやインクの無くなったボールペンなど先のとがったものでなぞっておきます。

次に実線の切り取り線に沿って切り抜きます。五段返り人形では切り取り線は全て直線なのでハサミでなく定規を当ててカッターナイフで切った方が楽です。

全て切りぬき終わったら折り線の山折り、谷折りの指示に従って折り曲げます。
なお印刷面が人形の内側になります。

接着剤は木工用ボンドなどを使います。
爪楊枝などでのりしろ部分に接着材を塗り張り合わせ部分にピンセットや爪楊枝で押しつけます。
このときある程度乾くまで押しつけておいて下さい。
接着の順番はうまく考えないと後で組み立てられなくなるので気をつけて下さい。
 私もまだ試行錯誤していますので、良い組み立ての順番が決まったら図面に記入します。
またベアリングの大きさ以上の隙間が空いているとそこからこぼれてしまいますので気をつけて下さい。
もし隙間が出来てしまったら薄手の紙で塞ぐようにして下さい。

手足部分の製作は次回行います。
さすがに軸まで紙だと作るのが大変なので、軸は竹串か爪楊枝を使うことを予定しています。


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