ジャイロカー

ジャイロカーは円板を回転させジャイロ効果を使い倒れずに進む2輪車です。
1912年に作られたSCHILOVSKI GYROCARをモデルにタミヤの**基本工作セットのイメージで製作しました。
Arduinoに加速度センサとサーボを繋いで傾きを制御するのが今時のやり方かもしれませんが、今回はあえて物理法則のみを使って安定走行を目指しました。
結果として玩具として楽しむには十分な安定性を得ることが出来てMake: Tokyo Meeting 05で展示を行いました。

Make: Tokyo Meeting 05で配布したチラシはA4片面に納めるためにかなり説明をはしょっていたので、補足の解説を以下にまとめます

@材料の切り出し

図のサイズに材料を切り出します。アルミ部品は折り曲げてから穴を開けた方が精度が出ます。
アルミ板は0.5mmでなく0.7mmにすれば補強の3mm幅の折り曲げ不要になるかもしれません。
木の種類はバルサや桐では軟からすぎると思いますのでシャーシ部は朴やアガチス、それ以外はヒノキがお勧めです。

A前輪の組立

ゴムタイヤに 前輪パイプを挿します。
前輪フォークで前輪をはさみ、前輪シャフトを挿しこみます。
前輪部は前輪部品A、Bを挟むように車軸受けと、前輪部品Cを接着します。
このときタイヤが他の部品引っかからないように接着してください。
接着は木は木工用ボンド、金属の部品はG17等のゴム系接着剤がお勧めです。


Bシャーシの組立

シャーシ左右にジャイロ固定用のジャイロ受けを接着します。このとき固定穴の位置が左右でずれないよう気をつけてください。シャーシ上面から穴までの距離は35oです。
電池BOXは接着し、強度的に不安があれば釘止めします。

切り取ったアルミ板を図のように曲げブラケットを作ります。
まず3mm飛び出した部分を万力にはさみ折り曲げます。
次にペンチなどで挟んで左右を曲げますが、曲げ終わったときの幅が55mmになるよう気をつけてください。
ブラケットには140モーターを接着します。

ジャイロ本体になるワッシャーは東急ハンズで売っているステンレスワッシャーM10 50mmx3mmを使いました。2枚入りで\350。
ワッシャーとモーターをつなぐブッシュは今回は旋盤でジュラコンを削って作りましたが、頑張れば手作業でも作れないことは無いと思います。
ジュラコンを使ったのは軸を押し込んで固定するためです。ABS等を使うときには押し込むだけではなく接着剤で固定したほうが良いと思います。

ワッシャーにブッシュをはめます。ブッシュはワッシャーの穴より少し大きく作っていますのでハンマーなどを使って叩き込んでください。(ブッシュが斜めにならないように注意)
モーターの接着が乾いたらブッシュは片方が広くなっていますが、広い方をモーター側と逆になるようにワッシャーを取り付けます。これはもしブッシュから外れても回転するワッシャーが飛んでいかないようにする為です。

C後輪の組立

図のように後輪の車軸受けとプーリー受けを直角に接着します。このときプーリー受け は下側の接着する側にφ2穴が来るよう注意してください。
駆動用プーリーはタミヤの楽しい工作シリーズ No.140 プーリー(S)セットに20mmと30mmのプーリーが入っていますのでこれを使います。
30mmのプーリーに内径2.9oのブッシュをはめ、プラパイプに挿し込みます。
次にプラパイプにゴムタイヤを挿します。
20mmのプーリーに内径3.1oのブッシュをはめ、プーリーシャフトを差し込みます。
位置関係は図を参考にしてください。

先に接着した部品が完全に乾いたら後輪と上部のプーリーを図のように組み立てます。
輪ゴムは#14(直線状につぶした長さが50mm)の物を使います。
ぶつかって止まった時に空転するように少し緩めの輪ゴムを使っています。
もう少し小さい輪ゴムを使うか、軸間を広くすれば坂も上れるとおもいます。

D全体の組み立て

シャーシ後部に後輪部を接着します。
シャーシ前部に前輪をネジ止めします。
図のようにジャイロ受けにジャイロ固定ピンを挿し込みジャイロを固定します。あまり深く差し込むとジャイロのワッシャーにぶつかりますので気をつけてください。ジャイロは軽く前後に動くようにしてください。もし引っかかるようなら固定部品を紙やすりで削るなどして軽く動くようにしてください。

配線
ジャイロ用モーターから出ている配線のままでは固すぎてジャイロが自由に動かないので、10cm程度の長さの直径0.5mm程度線で電池BOXへ配線します。

電池とモーターは図のように配線します。

今回簡単にする為に2本の単三電池を使い、モーターを1.5Vと3Vで動かしています。このため片方の電池の方が先になくなるのでたまに電池を入れ替えてください。
または走行用に1本用の電池BOXを準備した方が良いかもしれません。

配線を終えたらスイッチをシャーシに釘で固定して完成です。

走らせ方
電池BOXに単二電池を二本セットし、ジャイロのモーターを上にして手で持ち、両輪を浮かした状態でスイッチを入れます。
ジャイロを傾けないようにして回転が上がるのを待ちます。(10秒程度)
そっと地面に置くとジャイロカーは倒れることなく二輪で進みます。
走行用モーターの輪ゴムを外せばその場で停止することも出来ます。
倒れかけたときは人が横から押して傾きを戻そうとするとジャイロと競合して不安定になりがちです。このような時は一旦ジャイロのモーターをもって持ち上げて再度ゆっくり置くことで条件が初期化されて安定します。

前輪は少しならばステアリングをきることが出来ますが、直進時よりは安定は低くなります。

注意
ジャイロは高速で回転している為、直接手を触れないようにしてください。
道路で走らせるのは危険なのでやめましょう。

原理解説はもう少し待って下さい。